家庭でできる安心の水対策〜消毒副生成物を減らす方法〜
日本の水道水は浄水場で塩素消毒が施され、細菌やウイルスなどの病原体から私たちを守っています。しかし、この塩素消毒により「消毒副生成物」と呼ばれる化学物質が生成されることをご存じでしょうか。消毒副生成物は、塩素が水中の有機物と反応して発生するもので、長期的に健康へ悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。本記事では、消毒副生成物の種類、リスク、そして家庭でできる対策について解説します。
1. 消毒副生成物とは?
消毒副生成物は、水中の有機物質(植物由来のフミン質や工場排水の有機物など)と塩素が反応することで生成される副生成物です。以下のような代表的な物質があります。
(トリハロメタン)
主にクロロホルムなどが含まれ、長期間にわたる摂取で肝臓や腎臓に影響を与える可能性があります。
(ハロ酢酸)
クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸などが含まれます。これらはトリハロメタンと同様に健康への影響が懸念され、水道水質基準項目としても定められています。
(ホルムアルデヒド)
シックハウス症候群の原因物質として知られるホルムアルデヒドも、消毒副生成物の一つです。発がん性リスクを考慮した基準が水道水質基準に設定されています。
これらの消毒副生成物の発生量は、塩素の量や水温、水中の有機物質の濃度によって変化します。
2.家庭でできる消毒副生成物対策
一般的な水道水からの摂取量では大きな影響はないとされていますが、健康リスクの予防という観点からも対策を講じる価値があります。特に飲用として使用する場合、以下の方法が役立ちます。
(1)活性炭フィルターの利用
家庭用浄水器に広く使われている活性炭フィルターは、消毒副生成物を除去するのに効果的です。活性炭は塩素やトリハロメタンなどの有害物質を吸着する性質があり、消毒副生成物の濃度を低減できます。
(2)逆浸透(RO)フィルターの導入
逆浸透(RO)フィルターは、微細な膜を通して水中の不純物を物理的に除去する仕組みで、消毒副生成物を高い除去率で取り除くことが可能です。
(3)水を沸騰させる
簡易的な方法として、消毒副生成物を減らすには水を沸騰させることも有効です。ただし、トリハロメタンは水温が上昇すると一時的に増加するため、5分以上沸騰させるとよいとされています。また、すべての消毒副生成物を除去できるわけではありませんので注意が必要です。
3.より安全で安心な水を得るために
水道水の塩素消毒は、水を清潔で安全に保つための重要な工程ですが、同時に消毒副生成物が生成されるリスクも伴います。すぐに健康に深刻な影響を及ぼすわけではありませんが、特に健康志向の高い方や、妊婦や子供の健康を気遣うご家庭では、浄水器を活用することでリスクを軽減できます。導入する際には、活性炭方式や逆浸透(RO)方式の浄水器を検討されてみてはいかがでしょうか。